Amazon ECS Managed Instances を考察

こんにちは、TechBull運営のみっきーです。TechBull Advent Calendar 2025 の1日目の記事です。11月12日(水)、AWS LoftでTechBull LT&交流会!#3が開催されました。私もLTをする予定でしたが、体調不良のため登壇を断念しました。今回は、LTで発表する予定だった内容を紹介します!

この内容は2025年10月までに発表された情報に基づいています。

[参加人数130人超え!] TechBull LT&交流会 #3 イベントレポート

Amazon Elastic Container Service (ECS) を利用する際、エンジニアはこれまで、インフラ管理の自由度が高いEC2と、運用のシンプルさを極めたFargateという2つの主要な実行環境(Launch Type)の間で選択を迫られてきました。しかし、2025年9月30日、AWSはこれら両方の長所を組み合わせた新しい選択肢、Amazon ECS Managed Instances (MI) のリリースを発表しました。
AWSはこれを「ほとんどのワークロードに最適」な新しい標準として推奨しています。本記事では、MIがどのようなサービスで、従来のEC2やFargateとどう違うのかを解説します。https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/announcing-amazon-ecs-managed-instances-for-containerized-applications/

従来のECS実行環境のおさらい

Amazon EC2

  • 特徴:ユーザーが基盤となるEC2インスタンス(VM)を自分で起動・管理。インスタンス世代、アーキテクチャ、ボリューム構成など細かいカスタマイズが可能

メリット

  • コスト効率:高密度配置でFargateより大幅に削減できる可能性。
  • 単価:vCPU/GB単価でFargateより約1割程度安価
  • 割引:Spotは最大90%引き、Savings Plansは最大72%引き
  • パフォーマンス:同一ホストでイメージキャッシュが効きタスク起動が高速
  • 最新技術:Graviton4やGPUなど最新世代・用途特化インスタンスを選択可能。

デメリット

  • パッチ適用、スケーリング、AMI更新などインフラ管理責任が残る

AWS Fargate

  • 特徴:サーバー管理不要。タスク定義のみでAWSが自動的に実行基盤を用意。

メリット

  • 運用負荷の最小化:ホスト管理やスケーリング等をAWSへオフロード。
  • 強力な分離:Firecrackerベースの軽量VMでカーネル非共有
  • 監査容易化:ホストOSはAWS責任範囲。

デメリット

  • コスト:EC2比で単価が約1割程度高いことが多い。
  • 起動時間:毎回イメージプルが必要で30〜60秒程度かかるのが一般的。
  • キャパシティ:需要急増時にICEなどのリソース不足が生じやすい。

Amazon ECS Managed Instances(MI)とは

ECS Managed Instancesは、EC2の柔軟性・コスト効率とFargateの運用容易性を融合した新しいフルマネージド型のコンピューティングオプションです。AWSはMIを「パフォーマンス、コスト効率、運用のシンプルさの最適なバランス」と位置づけ、新しい標準として推奨しています。

基本的な仕組み

MIを選択すると、ECSタスクを起動するためのEC2インスタンスはAWS管理の責任範囲となります。これにより、パフォーマンス向上とTCO削減を両立し、起動とスケールを迅速化します。

主なメリット(EC2/Fargateの長所を融合)

分類 MIのメリット
運用のシンプルさ AWSがインフラ管理を代行。プロビジョニング、パッチ適用、スケーリングを自動化し運用オーバーヘッドを排除。
コスト効率 Bin-Packingの自動化でリソース利用率を最大化しコスト削減。
コスト最適化 アイドル/低利用インスタンスの自動排除。タスク終了後はDRAININGで停止し無駄コストを防止。
柔軟性 インスタンスタイプを自動選択。vCPU、メモリ、CPUアーキ等の要件から最適なEC2をプロビジョニング。GPUや高ネットワークなど特徴指定も可能。
パフォーマンス EC2ベースのイメージキャッシュで同種タスクの起動が高速
スケーリング EC2 Fleetベースの迅速スケーリングで需要に追従。

注意点

  1. 定期的なタスク入れ替えが必要:MIは14日ごとにセキュリティパッチ適用。タスクは最大14日で入れ替えが必要。EC2イベントウィンドウでメンテナンスを計画可能。
  2. OSレイヤーへの介入不可:SSH不可、ルートFS変更不可、カスタムAMI不可(Bottlerocketベースの専用AMI)。
  3. 極小リソースのタスクはFargate優位の場合:Fargateは0.25 vCPUから。MIはインスタンス最小1 vCPU以上のため、vCPU 2以下中心などはFargateが有利なケースあり。
  4. 現時点の非対応:Service Connect未対応。ネットワークモードはawsvpc/hostのみで、bridgeは不可。

まとめ

ECS Managed Instancesは、「EC2の性能・柔軟性・コスト効率」「Fargateの運用容易性」を兼ね備えたバランスの良い選択肢です。インフラ管理をAWSに任せつつ、コストと性能を両立したい多くの新規ワークロードで第一候補になり得ます。

まずはMIを新しいデフォルトとして検討し、カスタムAMI必須やService Connect必須などの要件がある場合にEC2またはFargateを選ぶ方針が実務的です。

観点 EC2 Fargate MI
AWS利用料金
スケーラビリティ
構築/運用容易さ ×
コンテナ分離 / セキュリティ
(Bottlerocket)
自由度 × ×

明日はmozumasuさんになります!

参考URL

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール