こんにちは、TechBull運営のみっきーです。TechBull Advent Calendar 2025 の1日目の記事です。11月12日(水)、AWS LoftでTechBull LT&交流会!#3が開催されました。私もLTをする予定でしたが、体調不良のため登壇を断念しました。今回は、LTで発表する予定だった内容を紹介します!
この内容は2025年10月までに発表された情報に基づいています。

従来のECS実行環境のおさらい
Amazon EC2
- 特徴:ユーザーが基盤となるEC2インスタンス(VM)を自分で起動・管理。インスタンス世代、アーキテクチャ、ボリューム構成など細かいカスタマイズが可能。
メリット
- コスト効率:高密度配置でFargateより大幅に削減できる可能性。
- 単価:vCPU/GB単価でFargateより約1割程度安価。
- 割引:Spotは最大90%引き、Savings Plansは最大72%引き。
- パフォーマンス:同一ホストでイメージキャッシュが効きタスク起動が高速。
- 最新技術:Graviton4やGPUなど最新世代・用途特化インスタンスを選択可能。
デメリット
- パッチ適用、スケーリング、AMI更新などインフラ管理責任が残る。
AWS Fargate
- 特徴:サーバー管理不要。タスク定義のみでAWSが自動的に実行基盤を用意。
メリット
- 運用負荷の最小化:ホスト管理やスケーリング等をAWSへオフロード。
- 強力な分離:Firecrackerベースの軽量VMでカーネル非共有。
- 監査容易化:ホストOSはAWS責任範囲。
デメリット
- コスト:EC2比で単価が約1割程度高いことが多い。
- 起動時間:毎回イメージプルが必要で30〜60秒程度かかるのが一般的。
- キャパシティ:需要急増時にICEなどのリソース不足が生じやすい。
Amazon ECS Managed Instances(MI)とは
ECS Managed Instancesは、EC2の柔軟性・コスト効率とFargateの運用容易性を融合した新しいフルマネージド型のコンピューティングオプションです。AWSはMIを「パフォーマンス、コスト効率、運用のシンプルさの最適なバランス」と位置づけ、新しい標準として推奨しています。
基本的な仕組み
MIを選択すると、ECSタスクを起動するためのEC2インスタンスはAWS管理の責任範囲となります。これにより、パフォーマンス向上とTCO削減を両立し、起動とスケールを迅速化します。
主なメリット(EC2/Fargateの長所を融合)
| 分類 | MIのメリット |
|---|---|
| 運用のシンプルさ | AWSがインフラ管理を代行。プロビジョニング、パッチ適用、スケーリングを自動化し運用オーバーヘッドを排除。 |
| コスト効率 | Bin-Packingの自動化でリソース利用率を最大化しコスト削減。 |
| コスト最適化 | アイドル/低利用インスタンスの自動排除。タスク終了後はDRAININGで停止し無駄コストを防止。 |
| 柔軟性 | インスタンスタイプを自動選択。vCPU、メモリ、CPUアーキ等の要件から最適なEC2をプロビジョニング。GPUや高ネットワークなど特徴指定も可能。 |
| パフォーマンス | EC2ベースのイメージキャッシュで同種タスクの起動が高速。 |
| スケーリング | EC2 Fleetベースの迅速スケーリングで需要に追従。 |
注意点
- 定期的なタスク入れ替えが必要:MIは14日ごとにセキュリティパッチ適用。タスクは最大14日で入れ替えが必要。EC2イベントウィンドウでメンテナンスを計画可能。
- OSレイヤーへの介入不可:SSH不可、ルートFS変更不可、カスタムAMI不可(Bottlerocketベースの専用AMI)。
- 極小リソースのタスクはFargate優位の場合:Fargateは0.25 vCPUから。MIはインスタンス最小1 vCPU以上のため、vCPU 2以下中心などはFargateが有利なケースあり。
- 現時点の非対応:Service Connect未対応。ネットワークモードはawsvpc/hostのみで、bridgeは不可。
まとめ
ECS Managed Instancesは、「EC2の性能・柔軟性・コスト効率」と「Fargateの運用容易性」を兼ね備えたバランスの良い選択肢です。インフラ管理をAWSに任せつつ、コストと性能を両立したい多くの新規ワークロードで第一候補になり得ます。
まずはMIを新しいデフォルトとして検討し、カスタムAMI必須やService Connect必須などの要件がある場合にEC2またはFargateを選ぶ方針が実務的です。
| 観点 | EC2 | Fargate | MI |
|---|---|---|---|
| AWS利用料金 | ◎ | △ | ◯ |
| スケーラビリティ | ◯ | △ | ◯ |
| 構築/運用容易さ | × | ◯ | ◯ |
| コンテナ分離 / セキュリティ | △ | ◎ | ◯ (Bottlerocket) |
| 自由度 | ◎ | × | × |
明日はmozumasuさんになります!
参考URL
- https://docs.aws.amazon.com/AmazonECS/latest/developerguide/ManagedInstances.html
- https://speakerdeck.com/kenicazu/ecs-managed-instance-overview-key-differences-from-fargate

@adachin0817の妹(同僚)。学生時代は、エンジニア学生団体の代表として企画・運営を担いながら、エンジニアリングのインターンシップにも積極的に参加。新卒では、ファッションECサイトのバックエンド開発に携わる。現在は、Findyでバックエンドを担当。「omochi gem」のOSS開発もしており、Shibuya.rbも参加している。TechBullではランチ会やサーバーサイド側のフォローをしている。
